迫りくる令和6年4月施行の改善基準
トラックなどの運輸業界では「2024年問題」と言われているのが「改善基準告示」です。改善基準告示とは、「自動車運転者等の改善のための基準」のことを言い、自動車運転者の長時間労働を防ぐことは、労働者自身の健康確保のみならず、国民の安全確保の観点からも重要であることからトラック、バス、ハイヤー、タクシー等の自動者運転者について基準などが設けられています。
広い意味でトラック運転者とは運送会社で働くトラックの運転者に限らず旅客事業者運送事業(ハイヤー・タクシー・バス等)及び貨物事業者運送事業以外の事業に従事する自動車運転者を含みます。
令和4年12月に自動車運転者の健康確保等の見直しが行われ、拘束時間の上限や休息期間等が改定され、令和6年4月に施行されます。
自動車運転者の時間外労働の上限は、令和6年4月から原則月45時間、年360時間、臨時特別な事情がある場合でも年960時間となります。
トラックの「改善基準告示」見直しポイント
改善基準はトラックやタクシー、バスで共通事項もありますが時間の制限の多少の違いがあります。ここではトラックの改善基準を見てみます。
①1年の拘束時間 現行3516時間⇒3300時間 最大3400時間
②1か月の拘束時間 現行原則293時間最大320時間⇒原則284時間、最大310時間
③1日の休憩時間 現行継続8時間⇒継続11時間を基本とし、9時間下限
労働時間のとらえ方、考え方
拘束時間とは使用者に拘束されている時間で、労働時間+休憩時間 例えば会社に出社し始業から仕事し、仕事を終えて終業するまでを言います。
また、作業時間とは運転や車両の整備、荷扱いをする時間を言い、手待ち時間とはバスやタクシー運転手における客待ち、トラック運転手における荷待ちの時間を言います。そして休息時間とは勤務と次の勤務の間の時間で、睡眠時間を含む生活時間として労働者にとって全く自由な時間を言います。
トラック運転手の労働時間短縮に取り組むことは人材不足の中、さらなる経営努力が求められています。
脳・心臓疾患による労災支給件数は運輸業・郵便業が最も多い業種です。