臨検監督とは
臨検監督とは、労働基準監督官が会社(事業場)を訪問し、その会社が労働関係法令を遵守しているかを確認するため、帳簿等の書類を調べたり、会社内部の人に事情聴取をしたりする行為です。臨検監督によりその会社に労働関係法令の法違反が認められる場合には、是正や改善を求める文書(是正報告書)がその会社に公布されます。また、労働基準監督官は、臨検監督のため許可なく事業場に立ち入ることが法律で認められているため、会社は事実上臨検監督を拒否することはできません。
労働基準監督官とは
労働基準監督官とは、厚生労働省の専門職員で行政職員と特別司法警察官の身分を併せ持つ存在です。つまり、事業場への立入権限等を活用した会社への監督指導(行政指導)によって、労働基準関係法令違反の是正を促し、労働条件の確保や向上を図る目的がある一方、悪質・重大な違反を行う会社に対しては、逮捕や送検などの強制力をもってその指導実行力を強化しています。ちなみに、この行政職員と特別司法警察官の両方を併せ持つ労働基準監督官の性格は、ILO(国際労働機関)条約によるものであり国際的なルールでもあります。
臨検監督の対象となる会社の選定
臨検監督の対象となる会社はどのように選ばれるのでしょうか。1つには労働者からの情報提供(申告)に基づきその会社を訪れる申告監督がありますが、もう1つ定期監督というものがあります。
これは、1年に1度厚生労働省において当年度の調査方針(労働行政運営指針中央版)が決められ、これを基に各都道府県労働局が各自の調査方針(労働行政運営指針地方版)を決定し、各管轄労働基準監督署はこれに基づく年間計画を月別に立て、所属する労働基準監督官に割り当てます。労働基準監督官は、割り当てられた計画を具体的に実施しますが、どこの会社に行くかや日程調整などのスケジュールは各労働基準監督官の裁量に委ねられます。以前は、訪問前に電話で訪問を伝えていましたが、現在は厚生労働省から予告をしないよう指示が出ていますので事前予告はないと考えたほうが良いでしょう。
最近はいつ調査が来るかわかりません。日頃の準備が大切です。