ふるさと納税の影響で交付税減は違法?
2022年3月10日、大阪地方裁判所は、総務省が泉佐野市に対して行った令和元年度の特別交付税の額の決定を取り消す判決を出しました。
「ふるさと納税の収入を特別交付税の減額要因とするのは違法」という判断が下されたのですが、そもそもこの「特別交付税」とは何なのでしょうか?
特別交付税とは?
地方交付税制度は、本来地方の税収入とするべきものを、団体ごとの税制不均衡を調整して、すべての地方団体が一定の水準を維持しうるように、国税として国が地方に代わって徴収して、合理的な基準によって再分配する制度です。
普通交付税は、人口密度や道路面積、学校数、気象条件等様々な要素を反映し、さらに市民税や固定資産税等の基準財政収入額と照らし合わせて、計算されるものです。
対して特別交付税は、普通交付税で捕捉されなかった、災害に関する経費や、地域の交通確保、産業の振興等の特別な財政需用があることや、基準財政収入額の算定が著しく過大に算定されていたものが対象となります。文字通り「特別な事情により交付される額」ということです。ちなみに総額の割合は普通交付税が94%、特別交付税が6%とされています。
省令で変更はダメだと判断
特別交付税は「地方交付税法」によって定められている制度で、今回の判決はこの法ではふるさと納税の寄附によって得た金額を「基準財政収入の算定に入れない」という確認を行っています。それを省令改正によって算定に組み込むのは「地方交付税法の委任の範囲を逸脱した」違法なものだと判断しています。
総務省は過去にも泉佐野市に「施行前の実績でふるさと納税制度に参加させないのは違法」との訴えを起こされ、裁判に負けています。過去の訴えも今回の訴えも、泉佐野市に対しての総務省の短慮な対応が問題になっていると言わざるを得ません。
交付税減額については2022年3月14日に国が控訴を行っているので、まだ敗訴決定ではありませんが、どうにも分が悪いように思えます。
他にも特別交付税をふるさと納税の額を理由に減額されている自治体があります。