ユーチューバーの税金トラブル?
2023年7月初頭、人気ユーチューバーの自宅等に国税の査察が入る事態となったようで、これによりユーチューバー・所属事務所・担当会計事務所間のトラブルがあったと報じられています。
内容についての真偽はともかく、ユーチューバー側の主張を配信した動画の中で、税理士が「訴えてくれれば保険を使える」と発言したとされるシーンがありました。この保険についてはおそらく「税理士職業賠償責任保険」(税賠)というもので、税理士または税理士法人が、その資格に基づいて行った業務に起因して損害賠償請求を受け、法律上の賠償責任を負担したことにより被る損害に対して保険金を支払ってくれるものです。
契約タイプや加入状況
税賠は個人事務所用の保険と税理士法人用の保険の2タイプに分かれており、支払限度額が1請求につき500万円・保険期間中1,000万円の1型から、3億円・6億円の7型までとなっています。保険料は事務所の人数や税理士の人数により異なります。また、事前税務相談特約と情報漏えい特約が用意されています。
2023年4月時点の加入状況も公表されており、それによると個人用保険は開業税理士数を分母としての計算で54.36%、法人用保険は税理士法人本店数を分母として、87.18%となっています。
ペナルティ税や本来の税金はNG
税賠が補償してくれるのは、税理士のミスにより発生してしまった税金です。例えば消費税の簡易・本則の選択適用を誤り本来より過大に納付してしまった税金や、有利になる税制の適用を失念してしまった場合に受けられなかった優遇措置分等です。
本来支払うべき税金の額や、過少申告加算税・延滞税等の附帯税は、保険金の支払い対象にはなっていません。
加入パンフレットに書かれていること
「職業専門家が依頼者に損害を与えた場合に、その損害について賠償が可能であることが専門家としての要件ともいわれています」というのは、確かにうなずける部分ではあります。ミスはないに越したことはありませんし、我々専門家は日々努力していますが、万が一の時でもお客様が安心できるように、こういった保険も用意されています。
小規模事務所ならば賠償は自身で行えるから、個人の加入率が少ないのでしょう。