デジタル払いを可能に労基法施行規則改正
令和4年11月にデジタルマネーによる給与の支払いを可能とする労基法施行規則が改定され、施行は令和5年4月1日です。
企業は労使協定を締結して労働者から同意を得れば、厚生労働大臣の指定を受けた資金移動業者の口座への資金移動による賃金のデジタル払いができるようになります。支払い先の口座残高は上限100万円、最低月1回は無料で現金を引き出せます。
給与の支払い方の方法が増えるだけ
現行の給与支払いは経営者や従業員が直接ATMやインターネットバンキング等で振り込むというのもありますが、実際には労働者の同意のもと銀行等の口座振替によって支払う会社が大半です。多くの会社では取引銀行に給与計算データを送信して給与の支払いが行われています。デジタルマネー払いが解禁されたとしてもそれを選択するかどうかは自由であり、会社が選択すればデジタルマネー口座への入金作業が増えます。労働者から導入を求められても必ずしも応じる義務はありません。
デジタルマネー払いのメリットデメリット
メリットは
①振込手数料を削減できる可能性がある
②労働者側はデジタルマネー口座に振り込む手間が省ける。利用者増加を狙い業者がポイント還元を行えばポイント還元が受けられる等で労働者の需要を満たせる
③月2回払い、週払いなども現実的になる(ただし、給与計算は行う必要あり)
④外国人労働者の場合母国に送金が容易
③資金移動業者破綻時は法で返還義務あり
デメリットは
①担当者の事務負担感は増加する
②労働者の同意が必要なので、デジタルマネー払いの理解が低いとすぐには進まない。同意を得る際は様式例等を使って確認必要
デジタルマネー払い導入の流れ
実際にデジタルマネー払いを進めるとしたら、導入の流れはどうなるのでしょうか。
①給与のデジタルマネー払いをするのかを検討する
②賃金規定の変更・労使協定の締結等
③労働者の同意を得て口座情報を収集する
④希望者にデジタルマネーで支払う
実際の利用は準備期間があるので令和5年夏以降と考えられます。
背景にはキャッシュレス決済の推進、スマホによる金融情報サービス拡大などがあります。デジタル給与支払いは今後広がっていくでしょう