二以上勤務は各社で社保加入の可能性有
複数の会社で勤務する方は、社会保険の「二以上勤務届」を提出しなければなりません。従来は2つ以上の会社で役員をしている方が該当する稀なケースでしたが、副業をする人が増えたことや、従業員500人(令和4年10月からは100人)超の会社で週20時間以上働く人が対象となるなど加入対象が広がったことで、該当する方が増えてきています。副業で従業員数が多い会社でパートやアルバイト勤務をすると該当することになります。
二以上勤務届の内容と社会保険料
この届出書の正式名称は「健康保険厚生年金保険被保険者所属選択二以上事業所勤務届」といいます。
どの会社に所属するのか(選択事業所と非選択事業所)を選択します。この選択は新たな保険証の発行のためであり、新番号で保険証が発行され、旧来の保険証は使えなくなります。
社会保険料の計算は、全事業所で支払われた給与額すべてを合算し、選択事業所の保険料額表(各県で違う)に当てはめて保険料が決定されます。そして、各事業所の合計給与額と各事業所の給与額の割合で按分し、事業所ごとの保険料を決定します。各事業者へは、年金事務所から、「健康保険・厚生年金保険資格取得確認、二以上事業所勤務被保険者決定及び標準報酬決定通知書」が通知され、自社で給与から控除すべき金額と会社負担額がわかることとなります。
各社における給与計算
各社での給与計算は、上記の二以上事業所勤務者標準報酬決定通知書を基に社会保険料の控除を行います。給与計算ソフトを使っている場合には給与計算時に調整が必要となります(給与計算ソフトにより調整方法は変わってきます)。
社会保険料は、毎年届出を行う「被保険者報酬月額算定基礎届」により、9月から翌年の8月まではこの標準報酬月額に基づいて、保険料が適用されます。また、年の途中で大幅な変動があった場合には、算定基礎届の提出時期を待たずして、臨時に改定(月額変更届)が行われます。自社の給与が変わらなくとも他社での給与の増減で控除すべき金額が変わってくることもありますので、年金事務所からの通知書は適時もれなく適用されるよう留意が必要です。
社会保険料が各社で控除されるといっても、給与総額で負担金額が決まりますので、過剰負担や不公平はありません。